オシャレな街、青山。時代の流行の最先端で常に煌びやかな街ですが、その一角にどんなに時代や街の雰囲気が変わっても、変わらない素敵なお店があります。
今回は表参道の喫茶店「蔦珈琲店」について紹介します。
蔦珈琲店の特徴
- 表参道駅から徒歩約3分。青山学院大学裏のアイビー通りにある
- 1988年オープン。建築家山田守氏の邸宅ピロティー部分を改装した喫茶店
- 全席禁煙
- おしゃれな街、青山に溶け込むようにして存在する大人な雰囲気の素敵な空間が魅力的
【閉店】蔦珈琲店は1988年にオープンした自家焙煎の珈琲店
青山学院大学の裏に位置する路地、アイビー会館があることから通称アイビー通りと呼ばれる場所に、1988年にオープンしたのが蔦珈琲店です。
マスターは39歳の時に、コーヒー好きが高じて脱サラし店を開く決意をしました。これが蔦珈琲店の始まりです。
元々は建築設計士だったそうで、おいしいコーヒーを求めて休みに北海道へ通ったり、自前の焙煎機を購入したりと、かなりのコーヒー通でした。
蔦珈琲店は2023年マスターの小山さんがお亡くなりになり惜しまれつつも閉店となりました。
蔦珈琲店は建築家山田守氏の邸宅を改装した喫茶店
そんなマスターが開業するのに選んだ場所が、この青山学院大学裏に位置する蔦で生い茂った住宅。
実はこの建物、京都タワーや日本武道館、聖橋などを手掛けた建築家、山田守氏の旧邸宅なのです。
蔦珈琲店は山田氏の生前ピロティーとして使用していた場所を改装し、テナントとして貸し出した場所に店を開いています。
蔦珈琲店の店内はシックで落ち着いた大人な雰囲気のする素敵な空間
店内は全席禁煙。
蔦珈琲店の店内はまず間違えなく、大きな窓に目を惹かれます。窓からはここが青山だということを忘れさせるほど見事な庭園が広がり、店でのひと時に花を添えてくれます。
美術館にでも入ったかのような店内は、シックで落ち着きのある大人な雰囲気。
カウンター席ではネルで1杯1杯丁寧にコーヒーを抽出されるマスターを眺めたり、お茶目でおしゃべり好きなマスターと会話を楽しめたりする特等席。
もちろん静かに自分だけの時間を過ごしたい方には、ちょうどよい距離感で接してくれます。
【閉店】蔦珈琲店は自家焙煎のコーヒーを中心にゆったりとひと時を過ごせるメニューがそろえられている
メニューは非常にシンプルで分かりやすく、自家焙煎のコーヒーを中心に、軽食類はチーズトーストとカレーライス、クロックムッシュのみ。ケーキは店内の黒板に書かれたものからチョイスできます。
蔦珈琲店『コーヒー』ブラジルサントスNo.2のシングルオリジン!
普通喫茶店では、コーヒーという表記のメニューではブレンドコーヒーを用意するというのが一般的とも感じられますが、蔦珈琲店ではブラジルサントスNo.2のシングルオリジンを使用しています。
ブレンドコーヒーが一般的に浸透し、かつ多くの喫茶店でメインとされる理由は、シングルでは偏りやすいコーヒーの味わいを均一化し、万人に受ける飲みやすいコーヒーを目指して作られたコーヒーであるためです。
そんな中で、他のコーヒーを用意せずブラジルのシングル1本のみで勝負するこだわりは、やはりマスターのコーヒー好きが所以ともいえるかもしれません。
注文を受けてから、丁寧にネルでドリップする味わい深くコクのあるコーヒーですが、その割に癖がなく飲みやすいのが蔦珈琲店のコーヒーの特徴です。
蔦珈琲店『カレーライスセット』スパイシーな本格派!食欲そそる香りも最高な一品
ランチにも重宝するカレーライス。型で固められたご飯がかわいらしい一品です。
スパイスがしっかり効いた本格派のカレー。
スパイシーでありながらも、甘みも感じられる味わい深さがおいしい。
しっかりと煮込まれたほろっととろけるお肉が絶品です。
蔦珈琲店『クロックムッシュセット』フレッシュでたっぷりのクレソンが添えられたふわふわイギリスパンのクロックムッシュ
蔦珈琲店の名物的存在でもあるクロックムッシュは、クレソンがたっぷり盛られています。
その中にはヤクルトとオレンジが隠されています。クロックムッシュが登場したころにはヤクルトはついていなかったのだとか。
実はお茶目なマスターが、ヤクルトレディーに会いたいという理由でつい契約してしまったのが始まりで、クロックムッシュには必ずヤクルトが1本添えられています。
蔦珈琲店『コーヒーとケーキ(シュークリーム)』昔ながらの素朴でカスタードがしっかり効いたシュークリーム
蔦珈琲店のケーキはバリエーションが豊富な充実のラインナップ。手作りのおいしいケーキを頂けます。
シュークリームは昔ながらの味わい。素朴で飾らないシンプルな物で、カスタードがしっかり効いた幸せ感の高い一品です。
【閉店】蔦珈琲店さかうぇいの感想
青学の裏の一等地に溶け込むようにある喫茶店、蔦珈琲店でした。
ここでのひと時は忘れられないものになり、またいずれ行きたくなってくる不思議なお店です。
この店に魅了されて弟子入りし、独立したのが以前紹介させていただいた神保町の眞踏珈琲店。お店の独特な雰囲気に心惹かれる気持ちがよくわかります。
皆さんも、レトロ感も、落ち着きも、大人な雰囲気も、マスターの茶目っ気もすべてある蔦珈琲店でのひと時を楽しんでみてはいかがでしょうか。
次回更新は2021年12月24日に予定しています。
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【閉店】蔦珈琲店について
蔦珈琲店
表参道駅B1出口から徒歩約3分
渋谷駅から徒歩約15分
東京都港区青山5-11-20
蔦珈琲店は残念ながら2023年にマスターの小山さんが亡くなられたため閉店しました。
取材は2021年11月10日、14日、17日に行いました。
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