コーヒー豆のあれこれ29回目
「ナチュラルプロセスのおはなし」
~コーヒーについて理解を深めていく~
はじめに
みなさんこんにちはさかうぇいです。今回はコーヒー豆のあれこれシリーズでお話したコーヒーチェリーのおはなしから発展して、コーヒーチェリーが普段私たちがコーヒー豆と呼び馴染み深い焙煎されたコーヒーになるまでの過程の話を何回かに分けてお話していきます。写真がないので、さかうぇいが描いたイラストがちょこちょこ出現します。お見苦しい点もございますが、ご了承ください。
私たちはコーヒー消費国の人たちは毎日のように何気なくコーヒーを嗜好品として飲んでいますが、コーヒーがその形として私たちの手に届くまでは様々な工程、そして様々な人たちが携わっています。ぜひコーヒーを楽しむ際はそのようなことを知って飲んでいただきたいと思いこのシリーズをやっています。コーヒーの事を知っていただければ、もっとコーヒーが楽しく、そしておいしいものになるかもしれません。
今回はナチュラルプロセスについて説明をしていきます。
ウォッシュドプロセスの説明については前半はこちらの記事を後半はこちらの記事をご覧ください。
シリーズ過去記事はサイトマップからご覧ください!!
前回の復習
ウォッシュドプロセスは収穫後、選別を行い、水につけて完熟で品質の良いチェリーとそうでないチェリーを分けた後に、パルパーで外皮と果肉を除去し、発酵槽で自然発酵によりミューシレージを取り除く準備を行い、その後大量の水で洗うことによりミューシレージを取り除き、乾燥の工程へ。パーチメントコーヒーをしばらく寝かした後、脱穀し出荷するという流れでした。
ウォッシュドプロセスの利点は高品質なものを精製できる点が大きいですが、デメリットとしてきれいな水が大量に必要な点、精製段階での工程が多い点、大規模になってしまう点などが挙げられ、インフラ整備の整っていないことが多い発展途上国のコーヒー生産地などでは取り入れにくい方法と言えます。
ではそのような国はどのような方法でコーヒーの精製を行っているのでしょうか?
今回はウォッシュドプロセスに次いで、多くの生産地が行っている精製方法、「ナチュラルプロセス」について紹介します。
収穫から乾燥まで
それではナチュラルプロセスの精製工程のお話をしていきます。
コーヒーの木を栽培し始めてから3~5年でコーヒーチェリーを実らし、晴れて収穫を迎えます。
ブラジルなどの大規模農園の栽培地などでは機械で収穫を行うこともできるそうですが、ほとんどの生産国では写真のように手摘みが一般的です。
またこの写真のような光景が理想的ですが、他の木が多い茂った中木をかき分けて、コーヒーチェリーを収穫する場所もあるようです。
場所によっては農家の家の裏山の敷地内に他の木や植物と混ざってコーヒーの木が生えているみたいな場所もあります。
写真のような大規模農園は整備をされているので収穫がしやすいですが、多くの栽培地ではこのような環境ではないというのが現実です。
収穫されたコーヒーチェリーは写真のような鮮やかな赤色をしていることがほとんどです。(イエローチェリーも存在します)ウォッシュドプロセスではこれら外皮と果肉をすぐに除去しますが、ナチュラルプロセスは除去を行いません。
ではこの次に行われる工程は何か?というと。コーヒーチェリーのまま乾燥工程へ移ります。よくコーヒー屋さんの商品紹介ページなどでアフリカ系の方が腰くらいの高さの台へコーヒーチェリーを広げている写真を使っている画像を見たことがあるのではないでしょうか??その光景こそ、ナチュラルプロセスの乾燥段階の工程を行っている作業風景になります。
ここでも乾燥する場所は「パティオ」もしくは「アフリカンベッド」になります。乾燥の工程は約2週間といわれています。その間、チェリーをただ天日干しにしているとカビが生えてしまう恐れがあるため、定期的に攪拌を行ってカビを防止します。乾燥が終わるとコーヒーチェリーは鮮やかな赤色から、茶色や茶褐色のような色に変わり、水分量が減るのでしぼみます。
脱殻から出荷まで
乾燥が終了したコーヒーチェリーは熟成期間を与えられます。熟成期間を終了したチェリーは脱殻作業工程へ進み、生豆の状態となり出荷工程へ入ります。
ナチュラルプロセスはウォッシュドプロセスとは違い非常に工程が少ないのが特徴ですね。ナチュラルプロセスでも収穫後に水に浮かべて選別を行う場合もあるそうですが今回は基本的な方法を紹介したかったので割愛しました。
ナチュラルプロセスの利点は
・工程が少ないので小規模でも精製ができる
・大規模な工程が少ないので土地の問題にもやさしい。
・独特な風味を出すことができる
・水を使用しないのでインフラ整備の問題に左右されない。
対してデメリットは
・完熟豆とそうではない豆を選別できないので欠点豆が混入しやすい。
・クリーンカップに仕上げにくい
などが挙げれれます。
ナチュラルプロセスのまとめ
今回はナチュラルプロセスについて説明をしました。品評会などでも、ウォッシュドのコーヒーに対して低く価値がつけられることも多いですが、独特の風味を出すことができ好んで飲まれる場合も多くあります。スペシャルティコーヒーの登場で、クリーンカップという面からウォッシュドプロセスがよいものとされ、それまで採ってきた精製方法を変えている生産地もありますが、コーヒー生産国の多くは、発展途上国が多いなど、インフラ整備の面から綺麗な水を大量に使用するウォッシュドに移ることができずに、ナチュラルを採るしかない国も存在します。ですが、ナチュラルプロセスにはナチュラルの良さがあり、好まれることも多いです。ぜひみなさんは勘違いをせず、そして品評会の評価だけに惑わされずに、ご自身で飲み比べてみておいしいと感じる。好きと感じるコーヒーを見つけていただきたいと思います。
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