パルプドナチュラルプロセスのおはなし

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パルプドナチュラルのおはなし コーヒー豆のあれこれ

コーヒー豆のあれこれ30回目

「ナチュラルプロセスのおはなし」

~コーヒーについて理解を深めていく~



 

はじめに


みなさんこんにちはさかうぇいです。今回はコーヒー豆のあれこれシリーズでお話したコーヒーチェリーのおはなしから発展して、コーヒーチェリーが普段私たちがコーヒー豆と呼び馴染み深い焙煎されたコーヒーになるまでの過程の話を何回かに分けてお話していきます。写真がないので、さかうぇいが描いたイラストがちょこちょこ出現します。お見苦しい点もございますが、ご了承ください。

私たちはコーヒー消費国の人たちは毎日のように何気なくコーヒーを嗜好品として飲んでいますが、コーヒーがその形として私たちの手に届くまでは様々な工程、そして様々な人たちが携わっています。ぜひコーヒーを楽しむ際はそのようなことを知って飲んでいただきたいと思いこのシリーズをやっています。コーヒーの事を知っていただければ、もっとコーヒーが楽しく、そしておいしいものになるかもしれません。

今回はパルプドナチュラルプロセス・ハニープロセスについて説明をしていきます。

ウォッシュドプロセスの説明については前半はこちらの記事を後半はこちらの記事をご覧ください。ナチュラルプロセスについてはこちらからご覧ください。

シリーズ過去記事はサイトマップからご覧ください!!

 

コーヒーの木

 

 

前回までの復習


ウォッシュドプロセスは収穫後、選別を行い、水につけて完熟で品質の良いチェリーとそうでないチェリーを分けた後に、パルパーで外皮と果肉を除去し、発酵槽で自然発酵によりミューシレージを取り除く準備を行い、その後大量の水で洗うことによりミューシレージを取り除き、乾燥の工程へ。パーチメントコーヒーをしばらく寝かした後、脱穀し出荷するという流れでした。

麻袋に詰められた生豆

 

ウォッシュドプロセスの利点は高品質なものを精製できる点が大きいですが、デメリットとしてきれいな水が大量に必要な点、精製段階での工程が多い点、大規模になってしまう点などが挙げられ、インフラ整備の整っていないことが多い発展途上国のコーヒー生産地などでは取り入れにくい方法と言えます。

変わってナチュラルプロセスは収穫したコーヒーチェリーから不純物(枝や葉目に見てわかる未完熟のチェリーなど)を取り除き、そのまま乾燥へ。一定期間の乾燥が終わったら豆を寝かせて熟成。その後脱殻し出荷という流れでした。

ナチュラルのいいところは小規模な農家などでも自身で精製処理を行える点やインフラ整備などの問題などに左右されにくいという点がありましたが、デメリットとして欠点豆を取り除くことができずに、混入率が上がってしまうほか、クリーンカップに仕上げるのが難しく、ウォッシュドと比較して風味が劣ると判断されやすい点にありました。

では今回紹介する「パルプドナチュラル」や「ハニー」といった精製方法は一体どのような精製方法なのでしょうか??

簡単に申し上げるならウォッシュドとナチュラルのいいとこどりをした精製方法です。次章より精製の流れについて説明します。

なおハニープロセスとパルプドナチュラルの違いは基本的な要素や製法についてはおおむね同じものです。ハニープロセスはコスタリカで生まれた方法でその影響から中南米ではハニーと表現し、それ以外ではパルプドナチュラルと表現するなどという説もあります。ハニーはミューシレージの残存率を操作することで名前がさらに変わったりもしますが、ここでは割愛します。

 

収穫から外皮と果肉の除去まで


収穫から外皮・果肉の除去まではウォッシュドプロセスと同じ流れをとります。

まず栽培期を迎えたコーヒーチェリーを収穫します。

コーヒー収穫

収穫したコーヒーチェリーは不純物を取り除き、水に浮かべられます。ここで未完熟のチェリーと完熟のチェリーに分けられます。(ウォッシュドの特徴であるクリーンカップに近づけることができます。)

その後ウォッシュドでは発酵槽でミューシレージを取り除く準備のため自然発酵させますが、パルプドナチュラルではその工程には移りません。

外皮と果肉を除去されたミューシレージが残ったコーヒーを乾燥工程に移します。ミューシレージは甘い粘液質なため、これをハチミツにたとえられてハニープロセスと呼ぶという説も存在します。また出来上がったコーヒー自体がハチミツのような風味がすることからも来ているという説もありますが、正確には不明です。

 

乾燥作業


 

コロンビア 豆乾燥

写真はコロンビアのウォッシュドのパーチメントコーヒーの乾燥風景ですが、このパーチメントコーヒーにぬるぬるしたミューシレージがまだ付いた状態で乾燥されていると想像していただければと思います。

乾燥期間は7日以上といわれています。その間ナチュラルと同様に複数回攪拌を行いカビの発生を防止します。乾燥が終了した豆はやや茶色のような色をしたものとなります。乾燥終了後は熟成期間に入り、一定期間寝かされます。この一定期間はすべてのプロセスで共通しますが、水分含有量の減少が目的ですので気候や天候に左右されますが、おおむね2ヵ月程度といわれています。



 

脱殻から出荷まで


熟成期間を終了したパーチメントコーヒーは脱殻作業に移ります。脱殻が完了した生豆は麻袋に詰められて、出荷されていきます。

パルプドナチュラルプロセスの特徴はウォッシュドプロセスとナチュラルプロセスの良いとこ取りな印象を受けます。

パルプドナチュラルの利点は

・未完熟チェリーを取り除くことができるので欠点豆が発生しにくくクリーンカップに仕上がりやすい。

・工程が少ないので小規模でも精製ができる

・大規模な工程が少ないので土地の問題にもやさしい。

・独特な風味を出すことができる

・水を使用する工程が少ないのでインフラ整備の問題に左右されにくい。

対してデメリットは諸説ありますが、ウォッシュドよりもクリーンに仕上げられないという点がありますが、このパルプドナチュラルが開発された背景にナチュラルの製法で作るものを少しでもクリーンカップに近づけて品質を上げることを目的としている面もありながら、ウォッシュドのさっぱりとする味わいにもっと豊かな風味をつけたかったためという面もあるためそれがデメリットか?といわれると微妙な気がします。

 

パルプドナチュラルプロセスのまとめ


今回はパルプドナチュラルプロセス・ハニープロセスについて紹介しました。品評会などでは様々な評価がされますが、コーヒーは人間の個性があるように、その個性だけ好き好みが分かれる飲み物であって、だから嗜好品と呼ばれる。だからコーヒーはみんな違ってみんないいと私は思います、確かに1位になった豆はおいしいものが多いですが、品評会で1位だったからという選び方ではなく、ぜひご自分の味覚でおいしいと思うコーヒーを飲んでいっていただきたいなと思います。

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